令和3年3月 添え状より

春光うららかな季節となりましたが、皆さま、如何お過ごしでしょうか。
今日は、神奈川県が行っている「かながわ感動介護大賞」の中から
最優秀賞作品を、ご一緒に読みたくて、掲載させていただきます。

「食を忘れてしまった母の脳を目覚めさせる介助法」   (H24)

ある家族会の日に施設長がおっしゃった言葉「椿寿の入居者様は皆私達の家族です。」
 職員の方も笑顔で頷いていました。 現在97歳の母が入居して七年、その間四度の危機がありました。食事も水分も摂れなくなりました。   
その時の職員の介助を見てとても驚きました。 まず、口を開ける様、頭を撫で、両手で肩を抱き、俯いている顔をそっと覗き名前を呼ぶ。       
「僕の顔を見てごらん。少しだけお昼ご飯食べようか。ゆっくりで良いよ。」 顔を上げる母に 「顔を見てくれて有難う。美味しそうだね。口を開けてくれる?」 少し口を開けた母に、ほんの少しだけ口に入れる。「もぐもぐして。ゆっくりで良いよ。上手だね。」 と繰り返す。やっと飲み込んだ母に、肩を抱き額と額を合わせて 「食べてくれて有難う。」 後ろで見ていた私の身体は硬直し、娘の私が何もできないことを恥ずかしく思い涙をこらえていました。 最近も発熱し、食事が採れなくなりました。
体にとても良いと言われているお猪口いっぱいの小豆あんこを出していただいたり、四苦八苦しながら、母が自力で食べられたときは、職員さんの喜ぶ声が廊下中に響き渡りました。 このような介助で幾度も母が元気になったことを思い返しました。

「十分でも一時間でも一日でも長生きしていただくことが私達の仕事であり願いなのです。」 という施設長からの言葉をいただき、年老いた私達家族も元気に、明日を明るく楽しく頑張れるのです。 「母さん、頑張れ頑張れ。」 心から感謝、感謝、有難うございます

これは、神奈川県にある椿寿という特別養護老人ホームにお住いの方のご家族様の作品です。『嚥下機能が衰えていく方の、難しい食事介助のエピソードから、介護職員による介護の手順や動作、気遣いまでもが伝わってくる作品』というのが、審査員の講評です。介護の原点が詰まった作品と思いました。
さて3月の請求書を同封いたします。今月は、4月からの介護料金の改定に伴うお知らせが、サービスご利用の方々に同封の場合と、別便でいく場合がございます。ご面倒をおかけいたしますが、宜しくお願い申し上げます。

          令和3年3月10日 総施設長 神原美智子